もし目が見えなかったら心は何を見たいと思うでしょうか?
短編小説集「たぬさんの領分:内なる音楽の旅路」ではこの問いかけに答えるべく、音楽が視覚と音の境界を超えて広がる力を探求した6つの作品が収められています。
音楽と共に人生の試練を乗り越え、そして時には栄光を褒め称えながら主人公が人間として変貌を遂げる姿が桜並木の美しい春の街並みから月明かりに包まれた神秘的な金鱗湖など日本の情景あふれる舞台で繰り広げられます。
カバーストーリーである「たぬさんの領分」では糖尿病より視力を失ってしまった画家の「たぬさん」が闇に包まれた世界で音楽の旋律により無限大に広がる世界を旅する不屈の精神を見出す姿が繊細に描かれています。他にも人生の最も美しい瞬間はただ単に目で見るのではなく、深く感じ、音楽を聴くことで憶えることができるということを気づかせてくれる珠玉の短編が揃っています。現代人が忘れかけている素朴で温かい人のつながりと共に感動が優しい旋律のように響きます。
この書籍は、2007年に文芸社から出版された「たぬさんの領分」の日本語版を基に、英語圏の読者を念頭に九州の豊かな情景を強調し、文化的背景をよりわかりやすく翻案した英語版です。
【注意】このあらすじは和文ですが、書籍は全て英語です。
ハードカバー版限定作品「雨が追憶と出会う時」
この美しく装丁された英語のハードカバー版には、特別限定初公開作品である「雨が追憶と出会う時」が収められています。雨嵐の中で起こった偶然の出来事が歴史の一コマとして、大切な家族の思い出として刻まれ、儚くも温かい瞬間が永遠に心に残ります。
収録作品
- 日曜日の朝はボサノヴァ
- たぬさんの領分
- スケルツォ
- 金鱗湖、月明かり
- ベルガマスクII
- 日曜の午後、海辺にて
- 雨が追憶と出会う時(ハードカバー版のみの特別限定初公開作品)