サイフォンコーヒーの実演 – 魅力的な科学実験の始まり
サイフォン式コーヒーが抽出される様子を見るのは、まるで魅力的な科学実験を目の当たりにしているかのようです。高温の水が容器内を蒸気圧で移動し、わずか2〜3分で完了するこのプロセスは、速さと共に発展する魅惑的な香りを伴い、五感を刺激するエンターテイメントとして観る人を魅了します。
サイフォンコーヒーの淹れ方は、ガラス製の器具を使用し、蒸気圧を利用してコーヒーを抽出する方法で、19世紀のヨーロッパで発祥したとされています。しかし、今日、日本で見られるような、この科学実験のようなスタイルは、1925年に河野彬氏によって「河野式茶琲（こうのしきちゃび）サイフォン」として完成され、今では日本特有のコーヒー抽出法として世界中で認識されるようになりました（「喫茶店とコーヒー」2023; UCC 上島コーヒー株式会社, 2025）。
サイフォンコーヒーが抽出される様子は、まるで魅力的な科学実験を目の当たりにしているかのようです。
日本でしか味わえない独特のコーヒー体験
実際、香りと味が温度の変化に伴いどのように発展するかは、私が別の投稿で紹介した八女のお茶の文化館で楽しめる「しずく茶」を思わせます。どちらも精緻な儀式と職人技が織りなす芸術であり、飲むたびに変化する味と香りを段階的に楽しむという洗練された体験を提供してくれます。
ほとんどの海外から訪れる旅行者は、日本に来てまでコーヒーを飲む必要はないと思うかもしれません。しかし、「珈琲舎のだ」の扉を一歩踏み入れればしずく茶を楽しんだ後に玉露の茶葉を味わうように、日本でしか味わえない独特の体験が待っていることが実感できるでしょう。
福岡を訪れる際には、茶の文化館の「しずく茶」と、珈琲舎のだの「サイフォンコーヒー」を組み合わせて五感を満たす洗練された日本文化体験を取り入れることをお勧めします。
コーヒー愛好者であれ、茶文化に興味がある人であれ、この福岡の飲み物文化を体験することで、日本の職人技と細部へのこだわりに対する深い感謝の気持ちが湧き上がることでしょう。
もちろん、コーヒーの味にこだわりがあるコーヒー愛好者にとって、この体験は非常に満足のいくものになるはずです。サイフォン抽出法は、高温で短時間の抽出により雑味のないコーヒーを作り出し、豆本来の豊かな風味と自然な甘みを引き出します。サイフォンで淹れることで、豆の品質が高ければ高いほど、そのエッセンスがより一層引き出されると言われています（丸山, 2021; 晋遊舎, 2022）。
現代の日本人は緑茶の約5.5倍のコーヒーを飲んでいる
これは驚きかもしれませんが、実は1970年代の半ばから、日本人は緑茶よりもコーヒーを多く消費しています。全日本コーヒー協会と全国清涼飲料工業会による2018年のデータによれば、日本のコーヒー消費量は約47万213トンで、緑茶の消費量は8万5,928トン。つまり、コーヒーは現在の日本で緑茶の約5.5倍消費されているのです（Caron et al., 2021）。
このような日本人のコーヒーへの偏愛を考えると、サイフォンコーヒーのような独自の抽出方法を取り入れたコーヒー文化が発展したことも当然と言えるでしょう。「珈琲舎のだ」は、その日本特有のコーヒー文化を体験し、味わうのに最適な場所です。
博多で最も歴史があるコーヒーの老舗
1966年に博多の対馬小路で創業された「珈琲舎のだ」は、博多珈琲の老舗です。福岡には複数の「珈琲舎のだ」がありますが、特に大名本店は、その独特でエレガントな馬蹄型のカウンターが印象的で、伝統を魅力的に感じさせてくれます。そのカウンターには特徴的な窪みがあり、肘を置いてサイフォンコーヒーが抽出される様子を楽しむのに最適なスポットです。
ほとんどのコーヒーショップではプレーンミルクが提供されることが多い中、「珈琲舎のだ」では氷の上にホイップクリームを添えて提供することで、コーヒー体験にひとひねり加えています。また、昭和スタイルの日本のケーキ、例えばストロベリーショートケーキや抹茶ロールが、このユニークな体験を忘れがたいものにします。
何を注文するか迷ったら、『のだプリンセット』を選べば間違いありません。
何を注文するか迷ったら、『のだプリンセット』を選べば間違いありません。店員さんによると、このセットのKiriクリームチーズを使用した濃厚で贅沢な四角いプリンと、『博多の華』ストロングブレンドコーヒーの組み合わせがお勧めだそうです。プリンのコク深くなめらかな味わいが、ストロングブレンドの力強い風味と絶妙に調和し、贅沢で満足感のあるペアリングを生み出すとのことです。
「珈琲舎のだ」は、単なるコーヒー一杯を提供するのではなく、日本の豊かな飲み物文化への没入型の旅の一環です。伝統、職人技、そして感覚的な体験が見事に融合したこの場所は、コーヒー愛好者にも日本文化愛好者にも、訪れる価値のある魂を揺さぶる体験を約束してくれるでしょう。
「珈琲舎のだ」大名本店
- 住所:
福岡市中央区大名2丁目10-1 シャボール大名1F
赤坂駅から徒歩3分
中央区役所前バス停のすぐ隣 - 営業時間:
10:00 AM ～ 7:00 PM（ラストオーダー 6:30 PM） - 定休日:
毎週水曜日 - 喫煙:
禁煙 - 電話番号:
092-741-5357 - ウェブサイト:
https://www.coffee-sya-noda.com
参考文献
Caron, A., Danturque, M., & 篠崎, K. (2021). 大人のためのコーヒー絵本. 日本文芸社.
マガジンハウス. (2023). Hanako特別編集 喫茶店とコーヒー. マガジンハウス.
丸山, K. (2021). 最新版 珈琲完全バイブル. ナツメ社.
晋遊舎. (2022). 100％ムックシリーズ自宅で淹れるコーヒー最強ガイドブック. 晋遊舎.
UCC上島コーヒー株式会社. (2025). コーヒーの基本(2)サイフォン編. UCC. https://journal.ucc.co.jp/column/3166
